手のレントゲンとあごの骨の成長

成長期の患者さんの治療計画を考えるときに、あごの骨がいつまで成長するかということが問題になります。


たとえば、反対咬合(受け口)の患者さんであごの骨の成長が続く場合、最終的に咬み合わせを整える治療はあごの成長が落ち着いてからになります。
それまではあごの成長のコントロールを行ったり、場合によっては成長が終わるのを経過観察する場合もあります。
あごの成長のコントロールも、比較的低年齢では効果的ですが、小学校高学年になるとあまり効果的ではなくなってきます。


治療開始の時期の決定、治療効果の見通しなどにあごの成長の予測が密接に係わってくるのです。


このあごの成長の予測は身長の伸びのグラフなども用いるのですが、
他に手のレントゲンで予測を行ったりします。



これは幼児(私の下の娘)の手のレントゲンです。
小さな子供では手の付け根の骨の数は少ないです。


この状態からどんどん成長すると、このようなレントゲンになります。

思春期前になるとこの状態になり、幼児に比べ手の骨の数が多くなります。
成長期なので、手の骨には軟骨がたくさん存在し、骨の端と骨の幹の部分がくっついていない状態です。


このあと、思春期性の成長が大きくなると親指の付け根に小さな丸い骨ができ、手首の骨にカギ(鉤)ができます。
思春期性の成長が終わるころになると、軟骨が骨に置き換わり、骨の端と骨の幹の部分がくっついて1本の骨になります。
ほとんどの骨がくっつくころにはあごの骨の成長もほぼ終わります。


大人の手のレントゲンがこれです。


このように、矯正歯科医は手のレントゲンを撮って、
親指の付け根の骨ができてないから、まだまだあごが大きくなるねとか、
手首の骨の軟骨がほとんどなくなってほぼ1本の骨になっているから、もう少しであごの成長が終わるねとか、
予想をつけています。