癖と歯列不正 5.指しゃぶり

歯並びに影響を与える癖の定番、
指しゃぶりです。



医歯薬出版 カラーアトラス歯科矯正診断学から引用

指しゃぶりは幼児ではごくありふれた癖です。
一般的には小学校入学ごろに自然に無くなることが多いですが、それ以後も継続する子供もいます。


長期間継続すると上の写真のレントゲンにあるように、上の前歯は上に持ち上げられながら、前に飛び出し、下の前歯は下に押し下げられます。
骨格的にも、上あごの前の方はあまり下方向に発育せず、上あごの後ろの方のみ下方向に発育します。つまり、上あごは前と後ろで発育の不調和が生じ、上あごの形が悪くなるのです。

長期間指しゃぶりをしている子供では、親指に歯が当たることでできたタコが見られることが多いです。


指しゃぶりの除去についてはいろいろな考えがあり、矯正歯科医、小児歯科医、児童心理学者で色々意見が分かれています。


指しゃぶりは歯並びに影響するので積極的(指に薬やからしを塗るなど)にやめさせた方が良い。
積極的にやめさせると子供の心理に悪影響を与えるのでよくない。


学童期になればやめる子が多いので、それまでは様子を見る。
なるべく早くやめさせた方が良い。


無理にやめさせると他の癖に置き換わる。
無理にやめさせると隠れて指しゃぶりをする。


など・・・


私の意見は、上のどれも正解であり、すべての子供に一様の対応をすることが間違っていると思っています。
子供の家庭環境や、心理的背景、骨格形態、歯列形態は様々です。
それぞれの子供に応じた対応が必要なのではないでしょうか。