外科的矯正治療 2.治療費負担、高額療養費、入院・通院特約

何度も繰り返していますが、外科的矯正治療における歯科矯正は、認可された医療機関でのみ保険で治療が行えます。
手術に関しても保険で治療が行えます。
しかし、保険で矯正治療を行えない医療機関で矯正治療を行うと、手術に関しても保険で行うことができません。


外科的矯正治療は自費の矯正治療と異なり、高額療養費の対象となります。
この高額療養費は、同じ月に同じ医療機関でかかった費用を世帯で合算し、自己負担限度額を超えた分について支給されます。


高額療養費の算定は以下の内容に基づいて考えられます。

  • 同じ月で算定する。7月15日から8月14日のように月をまたぐことはできない。
  • 多数回該当とは過去12か月間の間に既に高額療養費が支給されている月が3回以上ある場合をさす。
  • 同一の医療機関でのみ適用される。同じ病院の診療科でも歯科は別とみなされ、旧総合病院は診療科ごとに別とみなされる。
  • 同一の医療機関でも入院の自己負担と外来の自己負担は区別される。
  • 院外薬局の場合は、それと対応する病院又は診療所における療養に要した費用と合算する。
  • 入院時の食事療養、生活療養にかかる自己負担、保険適用外(自費)の費用は対象外となる。


高額療養費の算定方法は70歳未満と70歳以上で異なります。
外科的矯正治療を受ける患者さんはほとんどが70歳未満と思いますので、70歳未満の算定方法を以下に挙げます。


1. 高額療養費の基本的な算定方法

  • 上位所得者(被保険者の標準報酬月額が53万円以上)の場合: (10割相当医療費−500,000円)×0.01+150,000円
  • 一般(被保険者の標準報酬月額が53万円未満)の場合: (10割相当医療費−267,000円)×0.01+80,100円
  • 低所得者(市区町村民税の非課税者等)の場合: 35,400円


2. 多数該当(過去12か月間の間に既に高額療養費が支給されている月が3回以上ある場合)
高額療養費支給の4回目以降は自己負担額がさらに減額されます。

  • 上位所得者(被保険者の標準報酬月額が53万円以上)の場合: 83,400円
  • 一般(被保険者の標準報酬月額が53万円未満)の場合: 44,400円
  • 低所得者(市区町村民税の非課税者等)の場合: 24,600円


3. 同一世帯で同月内に自己負担額が21,000円以上となった被保険者や被扶養者が2人以上いる場合
自己負担額を合算して1.2.の自己負担限度額を超えた場合も払い戻されます。


一般的な外科的矯正治療患者さんの場合、1.の対応となります。
例として、10割相当医療費が100万円(3割負担の場合、高額療養費の適用がなければ30万円の自己負担)の場合、
上位所得者は15万5000円となり14万5000円の軽減、
一般は8万7430円となり21万2570円の軽減、
となります。


高額療養費の申請をする場合は、
入院前に、国民健康保険の場合は市町村役場、全国健康保険協会協会けんぽ)の場合は全国健康保険協会の各都道府県支部、勤め先の健康保険組合に高額療養費限度額適用認定証の申請を行なってください。
交付された認定証を医療機関出せば、自己負担限度額の支払いだけで済みます。
事前に申請していなければ、窓口で高額療養費の支給額と自己負担額を合わせた費用を一旦支払い、後で高額療養費を請求することになります。


負担軽減として、他に忘れてはいけないのが入院特約通院特約です。
外科的矯正治療は対象になりますので、しっかり請求しましょう。


外科的矯正治療の場合、保険適用、医療費控除、高額療養費、入院・通院特約を組み合わせると、自己負担はかなり軽減されます。
ぜひ請求忘れがないように、しっかりと負担を軽減してください。