できるだけすぐに矯正治療を行いたいこどものかみ合わせ 1

お母さんからお子さんのかみ合わせの相談を受けるとき、すぐに治療を始めた方が良いのかどうかを良く聞かれます。
すぐに矯正治療を行いたいこどものかみ合わせについて書きたいと思います。


こどものかみ合わせを見るとき、

  • 骨の大きさや形が悪いのか、
  • 咬みこむときに上の歯と下の歯の当たり方が悪くて、あごをずらして咬んでいるのか、
  • 歯並びに関係するくせがあり、すぐに取り除いた方がよいかどうか、
  • かみ合わせが悪い場合、一時的に悪く、時間が経てば改善するのかどうか、
  • どの時期にかみ合わせのどのように改善すれば良いか、その上でいつ治療を開始すればよいか、

などについて考えています。


これらを考えるときに、できるだけすぐに矯正治療を始めた方が良いですよと答えることが多いのが、
咬みこむときに上の歯と下の歯の当たり方が悪くて、あごをずらして咬んでいる場合です。


成長期のお子さんでは、身長が伸びるときに手足の骨だけでなくあごの骨も大きくなっています。
人間の骨は生活している環境に合せて、骨の形や強度を変えていきます。


上の写真は左の奥歯が反対に咬んでいる患者さんです。


この患者さんは少し口をあけると、上の歯の真ん中と下の歯の真ん中が合いますが、
咬むときに左の上の奥歯と下の奥歯が変なふうに当たり、下あごを左にずらして咬んでいます。


咬むたびにあごを左にずらしているので、下あごの骨には左にずらせよう、ずらせようという力がかかっています。
下あごの骨はこの左にずらせようという力に対応して骨の形を作り変えようとしますので、長期間放置していると下あごの骨は左右でずれた形に変わってしまいます。


そのため、小さなお子さんであごをずらして咬んでいる場合は、下あごの骨の形が変わってしまわないように早期に矯正治療を行うことが必要です。


上の写真の患者さんはまだ3歳でしたが、すぐに矯正治療を開始して上の歯並びを少し広げました。


治療後の写真です。
上の歯の真ん中と下の歯の真ん中が合い、あごをずらして咬むことがなくなりました。


こどものかみ合わせの異常の多くはしばらく様子を見ていても大丈夫ですが、中にはすぐに始めた方が良い場合がありますので注意が必要です。