歯の動揺

先日矯正治療中の患者が、
「歯がすごく動く。抜けないだろうか。」
と心配されて来院されました。


詳しく聞くと、歯を動かしている方向と逆方向に大きく動くことを心配されていました。


今日の話題はこれに関連した、「矯正治療中の歯の動揺」についてです。


正治療で歯が動き始めると、歯磨き等で歯が揺れ動くことに気が付くと思います。
歯が抜けないか心配になってくる方も多いです。
歯周病で歯の周囲に骨がほとんどない時以外は歯がぬけることはほぼありません。
抜ける方向に暴力的な力で、思いっきり引っ張った場合は別ですが。


では、なぜ揺れ動くのでしょうか。


以前出した図を少し改変して説明します。


歯に力がかかると、押された方の骨がとけて、反対側に骨ができて動いていくと以前説明しました。
骨がとけるのは早いのですが、骨ができるのには少し時間がかかります。
そのため、上の図にある青い部分にはしっかりとした骨がない時期がどうしても出てきます。
その時期に歯を動かしてきた方向とは逆方向に押すと、歯が揺れ動きます。
これが歯の動揺です。


ただ、この動揺する時期でも、歯は歯根膜という線維で周囲の骨とつながっているので、無理に歯根膜を引きちぎる力がかからない限り、歯が抜けることはありません。


重度の歯周病でない限り、普段の食事や歯磨きで歯が抜けることはありませんのでご安心ください。